ネパールの地震と地質の関係

ネパールの地震と地質の関係

1934年のM8を越えたネパール-ビハール大地震以来、M6程度の地震はありましたものの、M8クラスの地震はそれ以来ということになります。

下図のネパールの南北方向の地質断面図(カトマンズ盆地の西側を想定)のように、ネパール(インドプレート北縁)の地下には、南のインド国境付近での深度10kmほどから北の主稜下での深度30kmほどへと、北へゆるく傾く水平に近い断層(図では、MDFあるいはMHT)があり、そこから多数の断層(衝上断層、Thrust)が分岐しています。それらの衝上断層はSTD(その後正断層として活動)、MCT、MBT、MFTの順番で南のほうほど活動時代が新しくなっています。しかし、低ヒマラヤ帯にあるOST (Out-of-Sequence Thrust)はそれらの断層を切っており、最近も活動していると思われます。

今回の断層は、このOSTあるいはその南への延長(階段状になっている部分)が低ヒマラヤ帯北部の地下10数kmのところで動いたとみられます。

かつて湖であったカトマンズ盆地は軟弱地盤であり、古くからの耐震強度のない建物が多く残っており、そのような構造からも被害は大きくなる可能性があります。

なお、1934年の地震はもっと南の低ヒマラヤ帯南部あるいはサブヒマラヤ帯の下の今回より浅い部分が震源と考えられています。また、インドプレートとユーラシアプレートの境界は図の右端のインダス-ツァンポ縫合帯ですが、現在はほとんど活動していません。両プレートの衝突(インドプレートの北への移動)による変形運動は、南のヒマラヤ地下の衝上断層群の活動となっています。山間部では地すべりもありましょうが、今後余震などによる氷河湖決壊も危惧されます。

当協会在田 一則北海道支部長(元北海道大学教授、ネパール地質学会名誉会員)提供

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