カトマンドゥ便り

カトマンドゥ便り 11月 

 新憲法を制定するプロセスが暗礁に乗り上げてしまった。制憲議会に設置された対話委員会(Constitutional Political Dialogue and Consensus Committee)に連邦制などの未解決問題について解決する責任が与えられていたが、対話委員会は1031日の期限内に合意を成立させることに失敗した。その後、113日に開かれた対話委員会の会議で、与党のネパール会議派(NC)と統一共産党(UML)が連邦制とガバナンス形式、司法制度、選挙制度の4つの主な未解決問題について共通の提案を打ち出して、これを対話委員会を通じて制憲議会の本会議で議論をするために提出すべきと主張したことから、与野党の対立がさらに深まることになった。制憲議会の議席数が与党をはるかに下回っている野党の統一ネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)とマデシ政党は、与党が彼らの提案を制憲議会で票決に持ち込む意向であることを疑って、NCUMLが出した提案を拒絶した。その後、両者は一歩も引き下がる様相を見せず、対話委員会は制憲議会にレポートを出すことができずにいる。

 対話委員会の委員長を務めるマオイストのバブラム・バッタライは、今後のプロセスについても主要政党間で合意を成立させることが必要であるとして、コイララ首相やUMLのオリ議長の説得に努めている。しかし、与党側はこれ以上話し合いに時間をとることは無駄であるとして、制憲議会の本会議で未解決問題について議論することを望んでいる。一方、マオイストとマデシ政党は連邦制などの主な4つの未解決問題については、合意により決めるべきというスタンスを変えていない。対話委員会のバッタライ委員長が合意をあきらめずにいることから、UMLのオリ議長は「対話委員会の委員長にバッタライを選んだのが誤りだった」(1117日のAnnapurna Post)とまでコメントしている。バッタライ委員長は1114日の対話委員会の会議が結論が出ないままに終わった後、17日の会議までに主要3党間で何らかの合意が成立しなければ、ネパールで再び紛争が始まると警告している。しかし、17日朝の段階で、合意が成立する可能性は見えていない。

 危機的な状況にあるにもかかわらず、主要政党リーダーは相変わらず無責任な言動をとっている。マオイストのダハル議長は117日に自身が招集した政治委員会の会議に、NCUMLのリーダーが欠席したことを“侮辱”ととり、1110日から突然、カトマンズを離れてロルパ・ツアーに出かけてしまった。ダハル議長がかつてのマオイストの“アダールイラカ(本拠地)”で“思い出の地”を訪ねて感傷に浸るなか、バッタライ委員長とナラヤンカジ・シュレスタ副議長は何とか与野党間の溝を埋めようと水面下で試みていた。コイララ首相からのたっての要請もあり、ダハル議長は13日に予定を切り上げて首都に戻ったが、15日、今度は野党連合の22党の合同集会に出るためにカイラリ郡ダンガディに出かけて行った。ダンガディの集会でダハル議長は「7日以内に合意が成立しなかったら、22党が政府を樹立する」と話している。与野党は相手のために憲法ができないでいると、互いに非難合戦を繰り返しているが、両者が歩み寄らないかぎり合意は成立しない。現状を見ると、来年122日の期限内に新憲法を発布することはかなり困難になったと言える。(小倉清子)

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