カトマンドゥ便り

カトマンドゥ便り 1015

 制憲議会のなかに設置された対話委員会で、連邦制などの未解決問題について合意を成立させることができず、新憲法制定のプロセスはなかなか前に進むことができずにいる。対話委員会における合意の期限は3度目の延長で1016日までとされたが、15日現在、合意の可能性は見えていない。主要3政党はダサイン祭の休み明けから連日会合を開いて、連邦制とガバナンス形式について合意を試みたが、結論が出なかった。さまざまな報道を見ていると、最大野党であるマオイストこと統一ネパール共産党毛沢東主義派は連邦制に関しても、ガバナンス形式に関しても、ここにきて柔軟な姿勢を見せていた。ネパール会議派も歩み寄りの意図を見せていたが、統一共産党が一歩“後退”したことから合意がならなかったとマオイストは非難している。

 連邦制に関する政党の議論は州の数と州境、そして州名に集中している。最近の主要3党の会議で、ネパール会議派は6つの州からなる連邦制モデルを、マオイストは10の州からなる連邦制を主張した。マオイストはこれまで10あるいは14の州からなる連邦制を支持してきたが、ここにきて、10州あるいはそれ以下の数の州でも受け入れる可能性を示唆している。州の数を減らす場合、州名は“タムワン・マガラート(グルンとマガール)”や“リンブワン・キラート(リンブワンとライ)”など複数の民族の名前を併せたものにすることを条件に出している。一方、ネパール会議派は州の数を増やす場合には、州名を“ガンダキ”や“サガルマータ”などといった民族名を入れない自然の固有名詞からつけるか、あるいは州議会に州名を決める権利を与えるべきと主張している。

 統一共産党は連邦制についてはネパール会議派に近い方針を打ち出している。これら与党2党のなかには、州分けをするときにはネパールを縦割りにして、それぞれの州にヒマラヤからタライまでを含めるべきと主張するリーダーもいるが、ネパール会議派が106日に党決定したモデルでは、タライに東のサプタリ郡からパルサ郡までと、西のナワルパラシ郡からバルディヤ郡までの2つのマデシ州が作られることになる。このモデルではモラン郡やジャパ郡、カイラリ郡、カンチャンプル郡がマデシ州から分離されて山地の郡と同じ州になることから、タライ・マデス・ロクタントリック党のマハンタ・タクール党首らマデシ・リーダーが反対を明らかにした。連邦制については同じ党内でも意見が分かれており、全党が合意するようなモデルを導入することは不可能といえる。

 ガバナンス形式については、マオイストはこれまで行政権をもつ大統領を直接選挙で選ぶ制度を主張してきたが、ここにきて譲歩し、行政の長である首相を直接選挙で選び、セレモニアル大統領を議会で選ぶ制度で譲歩することを明らかにした。これはこれまで統一共産党が提案してきた制度である。ところが、統一共産党はこの制度から一方後退して、ネパール会議派が提唱している“進歩した議会制度”を支持するようになった。ネパール会議派は議会が首相を選出し、大統領は選挙人団が選ぶ制度を提案している。

 統一共産党が自党の方針を変えてネパール会議派を支持するようになったのは、制憲議会の本会議で票決となった場合を見越してのことだ。マオイストとマデシ政党らからなる野党連合は新憲法の未解決問題を票決することに強く反対し、与党が強制的に票決を行ったら街頭運動を始めることを決めている。ところが、10月15日の報道によると、この日に開かれた3党会議では、16日までに合意が成立しなかった場合、憲法制定の“プロセス”つまり票決を行うことでマオイストも合意したという。マオイストは票決でも柔軟になったのだろうか。合意の期限をこれ以上延長しても、合意が成立するとはかぎらない。来年1月22日の期限内に憲法を発布するには、合意のための話し合いを打ち切って票決を行う必要がある。主要3党は16日、どんな結論を出すだろうか。

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